産地をめぐって 第9回 復元30周年を迎えた伝統工芸品薩摩切子

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よか特集

2016年3月 第9回 歴史ロマンあふれるクリスタルの輝き鹿児島が世界に誇る「薩摩切子」

現地レポート2016年 鹿児島県鹿児島市復元30周年を迎えた伝統工芸品薩摩切子

皆様、こんにちは。産地をめぐって取材班のサタケです。
第9回目は、鹿児島市の薩摩ガラス工芸様を訪ね、
幕末に生まれ、一度は幻と化したものの、100年後に復活し、
復元30周年を迎えた「薩摩切子」をご紹介します。

産地をめぐって「鹿児島県鹿児島市」編

鹿児島の陸の玄関口・JR鹿児島中央駅から車で約30分、やって来たのは鹿児島市の磯地区。雄大な桜島と錦江湾を借景とした名勝・仙巌園(せんがんえん)では、日本近代化の礎を築いた集成館事業の足跡が見られます。

この集成館事業の関連遺産を含む「明治日本の産業革命遺産」が、2015年7月、世界文化遺産に登録されました。そこで今回は、日本初の工業地帯で生まれた薩摩切子のヒミツに迫るべく、「薩摩ガラス工芸」へ足を運びました。

鹿児島県鹿児島市 薩摩半島に位置する南九州の拠点都市。錦江湾と桜島の景観は「東洋のナポリ」と称される。


宝石のような薩摩切子が生み出される工房。
成形・加工の様子を見学することもできます。


仙巌園とガラス工房に隣接する磯工芸館。
薩摩切子のギャラリーショップです。

薩摩切子ができるまで

1調合〜熔融 薩摩切子の主な原料は、石英(シリカ)、鉛、石灰です。色ガラスは作る色に合わせて、金、銅、コバルト、マンガンなどの着色剤から選びます。必要な原料を混ぜ合わせたら、1,500℃の窯の中で一晩かけて溶かします。泡のないきれいなガラスに熔融されたら、1,100℃まで温度を下げて作業します。
2たね巻き 別々の窯で水あめ状に熔融された透明ガラスと色ガラスを、それぞれステンレス製の竿で巻き取ります。これをたね巻きと言います。この後行われる色被せ(いろきせ)の工程に進めるため、たね巻きを行う職人がタイミングを合わせながら、泡のないきれいな下玉を作ります。
3色被せ(いろきせ) たね巻きで巻き取った色ガラスを金型へ吹き込み、碗状になった色ガラスの中に別の竿で巻き取った透明ガラスを流し込みます。こうして外側が色ガラスで、内側が透明ガラスの2層のガラスを作ります。
4型吹き 色被せしたガラス生地を加熱炉に入れてなじませ、型吹きや宙吹き技法によって猪口や杯の生地を成形します。出来上がった生地は徐冷炉の中に入れ、約16時間かけて徐々に冷まして歪みを取り除きます。翌朝徐冷炉から取り出された生地は、生地検査でチェックを受け、カットの工程へと運ばれます。
5当たり〜カット カットの文様に合わせた分割線を引きます。分割線をもとにダイヤモンドホイールを高速回転させ、水を流しながらカットすると、表面の色ガラスが削り取られ文様が浮き上がってきます。その後、人工の砥石を使い、カット線の表面を滑らかにするとともに、細かい柄を仕上げます。また、効果的なぼかしを生み出すために微妙な線の深さを整え、曲面の細かい凹凸も取り去ります。
6磨き まず、青桐でできた円盤やセリウム盤を回転させ、水でペースト状にした磨き粉をつけながら、線や面を一つひとつ磨く木盤磨きを施します。次に、竹の繊維で出来たブラシ状の円盤を回転させ、さらに細かい部分までブラシ磨きします。最後に布製の円盤を高速回転させ、水で溶いた艶粉をつけながら表面のくもりを取り、鏡面に仕上げます。
7検査 カットして磨き上がったものは、最終検査にかけられます。いくつもの検査項目があり、修正で前工程に戻されることもあります。検査に合格したものは、丸に十の字と「SHIMADZU」のサインが入れられ、店頭へ出荷されます。

鹿児島の伝統工芸品「薩摩切子」レポート

1 ガラス生地が生まれる瞬間を吹場で目撃!

薩摩切子は、その名の通り「薩摩」の「切子(カットガラス)」工芸品。1851年に薩摩藩主となった島津斉彬(なりあきら)が推進した集成館事業の一つとして誕生しました。当時は都鄙を問わず高い評価を受けていたと言われていますが、1863年の薩英戦争で工場が焼けてしまい衰退。明治維新の動乱の中で薩摩切子は途絶えました。

それから約100年後の1985年、薩摩切子の復元事業が始まりました。現在は復元品の他に現代のライフスタイルに合わせた創作品も続々誕生。2015年に復元30周年を迎えました。

色とりどりの輝きに目を奪われる薩摩切子。その製造工程を間近で見学できる施設が、薩摩ガラス工芸の工房です。薩摩切子の制作はガラスの生地を作る工程と、その生地を加工する工程の2つに分けられます。ガラス生地を作る吹場(ふきば)は、成形作業の真っ最中。壁際の熔解炉では、溶かした透明のガラスと色ガラスを別々の竿に巻いて取り出すたね巻きを行う様子が見られました。工房の中央に位置する色被せ(いろきせ)のスペースでは、色ガラスを型に吹きこみ膨らませる姿も。高温で水飴のように柔らかなガラスを巻きつけた竿は、常にくるくると回し続けていなくてはいけないそう。一見簡単そうに見えても実はかなりの修練が必要な作業です。

1,000℃以上に熱されたガラスを扱うのはかなりの危険が伴うように思えますが、工房内にはほとんど声がしません。すべての職人さんが吹場内をスムーズに行き来しながら、手際よく作業を進める様は芸術的。その一挙一動に思わず見とれてしまいました。


口元を広げ、はさみで余分な部分を切って成形する
「口仕上げ」。この後、16時間かけて冷まします。


作業中にガラスの温度が下がるため、熱を加えながら
作業を続けます。加熱炉の温度はなんと1,400℃!

2 熟練の職人による加工で切子に命を吹き込む!

薩摩切子は透明なガラスに色ガラスを2〜5ミリ位に厚く被せ、カットを施すことにより、その境をあいまいにして美しいグラデーションを生み出す「ぼかし」が特長。その加工を担うのが、吹場のすぐ隣にあるガラス生地の加工場です。

ここでは、まず最初に油性ペンでカットの柄に合わせて分割線を引いていきます。そこからダイヤモンドホイールを高速回転させてガラスの表面を削り、文様を彫り込んでいく荒ずり、人工砥石を回転させてさらに細かい柄を仕上げる石掛けと続きます。加工の文様は、薩摩切子の代表的文様と言われる魚子文(ななこもん)、色ガラスを玉状にカットし、六角形でつなぎ合わせた亀甲文、菊文、蜘蛛の巣文などバリエーション豊か。これらを組み合わせることで、薩摩切子特有のぼかしが一段と美しさを増します。次に行われるのが磨きと呼ばれる作業。木盤磨き、ブラシ磨き、バフ仕上げという三段階の工程を経て、最後に製品検査に合格したものだけにサインが入れられます。

それぞれの持ち場を担当する職人さんは一心にガラスと向き合い、工房に響きわたるのは砥石を回すモーターの音だけ。最初は分厚く輝きもにぶかったガラスが熟練の職人技によって、まばゆいばかりの工芸品へと変貌する様は、まさに見事としか言いようがありません。ガラス工房には吹場と加工場を合わせて、現在25人の職人さんが在籍しているそう(2016年2月現在)。復元から30年にわたり培われてきた技は、ベテランから若手へと脈々と受け継がれています。


文様を刻むカットの工程。
熟練の職人技が光ります。


薩摩切子の輝きを増す磨きの工程。
真摯にガラスと向き合う様が伝わります。


手元とガラス生地を照明で照らし、
外側に書かれた分割線に沿って、
内側から器を削ります。


職人の経験と繊細な感覚が
「ぼかし」の色彩美を
生み出しています。


ミリ単位で磨き上げる薩摩切子。
器の中にはまるで万華鏡のような
魅惑的な世界が広がっています。

3 薩摩切子の今と昔に出合う磯工芸館

熟練の職人技を堪能した後は、ガラス工房に隣接する磯工芸館へ。ギャラリーショップであるこちらでは、色・文様・形と豊富にそろった薩摩切子が展示販売されています。

「薩摩藩のガラス製造は、1846年、島津斉興(なりおき)の時代に始まりました」と教えてくださったのは、薩摩ガラス工芸の有馬仁史さん。当時著名であったガラス師を江戸から招へいし、薬品瓶などを製造していたそうです。そして、1851年、島津斉彬(なりあきら)が藩主になると、ガラス工芸は飛躍的な発展を遂げます。時は幕末、欧米諸国が日本に開国・通商を求めていた時代。諸藩が軍備の近代化に力を注ぐ中、斉彬は日本を強く豊かな国にしようとしていました。そんな中、海外交易品を企図して開発されたのが薩摩切子です。ぼかしを引き立たせる色彩美や複合文(いくつかの文様を組み合わせたもの)は、斉彬の海外進出という壮大な夢に裏付けされた意匠だったのです。

斉彬の在位8年の間に隆盛を極めたものの、その後、衰退し、1877年頃には技術が途絶えてしまった薩摩切子。幻となってから約100年後の1985年、斉彬ゆかりの鹿児島市磯に薩摩ガラス工芸が設立されました。当初、紅・藍・紫・緑の4色の薩摩切子を復元。文献には記述があるものの現存するものが見つかっていなかった幻の金赤と黄色の再現にも成功しました。さらに2005年には、斉彬ゆかりの新色・島津紫を開発。また、二色被せ(にしょくぎせ)など新しいタイプの薩摩切子の製造にも積極的に取り組んでいます。

薩摩藩のガラス製造の歴史とほぼ同じ、復元30周年を経た今。どことなく温かみをたたえた輝きは、次世代まで明るく照らしているようでした。


薩摩ガラス工芸の有馬仁史さん。磯工芸館は、
国登録有形文化財の指定を受けた洋館を利用しています。


厚さ5ミリの色ガラスを削り出した船形鉢。
見事な立体感は熟練の職人技の賜物です。


薩摩切子がずらりと並ぶ
雛壇飾りは、まさに豪華絢爛!


濁りのない鮮やかな黄色は、
1988年に復元された色。


薩摩切子の展示数は国内随一。
鹿児島の工芸品も各種揃えています。

生産者のこだわり!直撃インタビュー 薩摩切子の美しさのヒミツ 鹿児島県指定の伝統工芸品である薩摩切子。その美しさのヒミツを有馬仁史さんにうかがいました。 株式会社島津興業観光事業本部 有馬仁史さん

100年の時を経て復活を遂げ、復元30周年を迎えた薩摩切子の歴史と魅力を語ってくださいました。

長寿の里
薩摩切子の最大の特徴は何でしょうか?
有馬さん
薩摩切子の最大の特徴は、「ぼかし」と呼ばれる美しい濃淡にあります。透明なガラスに2〜5ミリ程度の色ガラスを被せ、大きな角度で透明なガラスの層までカットすると、その断面に微妙な濃淡、つまりぼかしが生まれるんです。島津斉彬の養女であった篤姫(あつひめ)も薩摩から江戸へ嫁ぐ時に、薩摩切子を嫁入り道具の一つとして持参したそうです。
長寿の里
あの篤姫も薩摩切子を愛用していたんですね! 色とりどりのガラスにうっとりします。
有馬さん
深くしっとりとした東洋的な色は、ぼかしを入れることで日本の詫び・寂びも感じさせます。中でも斉彬の時代に日本で初めて発色に成功した紅色は「薩摩の紅ガラス」として珍重されていました。現在は紅色のガラス生地を作る時は、一定時間・一定温度で二度熱を加えます。薩摩藩の時代はガラスを溶かす燃料が木炭だったそうなので、ガスのように温度を上げたり、一定の温度に保つことはとても難しかったはずです。当時としては画期的な技術を開発していたことを思えば、斉彬が諸国の大名に薩摩切子を自慢していたというのも納得です。
長寿の里
確かな技術に裏打ちされた美しさを誇る薩摩切子ですが、皆さんはどのように使っているのでしょうか?
有馬さん
ハレの日の器として使われる方が多いですね。使うだけで気が引き締まりますし、味もいっそうおいしく感じられます。遠くから見ても美しく輝くクリスタルガラスですので、インテリアジュエリーとしてもおすすめです。
長寿の里
大切な人への贈り物にしたり、自分へのご褒美にしてもいいですね。
有馬さん
薩摩切子のように歴史ロマンを持ったガラス工芸品は国内でも貴重です。誕生から終焉、復元までの時代背景やさまざまな物語に思いを馳せながら、使っていただきたいですね。
長寿の里
復元から30周年を迎えて、今後はどのようなことに注力されますか?
有馬さん
原点に立ち返り、伝統や技術を見直すとともに、新しいものにも挑戦を続けてまいります。次の世代にバトンを渡すことも私たちの重要な使命です。
長寿の里
一人ひとりが歴史に培われた伝統を知ることも大切ですね。今日はお忙しい中、ありがとうございました!

幽玄なぼかしの美 21世紀の新色・二色被せ 端正なフォルムに宿る歴史ロマン

取材後記

江戸切子に代表される当時の国内のカットガラスが単一文様であるのに対して、いくつかの柄を組み合わせた複合文が特徴の薩摩切子。それは、100年以上も前だったにも関わらず海外の人が見ても素晴らしいと思えるデザインを目指したからだという説を伺いました。文化が同等にあってこそ、欧米と対等な関係が築けると考えていたという島津斉彬。あらためてその先見性に感動しました。

端正でありながら、手のひらにすっぽり納まるような小ぶりなものが多く、どことなく温かみのある薩摩切子は、眺めてよし、触れてよし、飾ってよしの魅力があります。

その魅力を支えているのは、真摯にガラスに向き合う職人たちの情熱と技術に他なりません。工房を見学し、ギャラリーショップを訪れれば、磨き上げられた薩摩切子の美しさにきっと心を奪われることでしょう。

予約注文が絶えない中、工房やギャラリーショップを取材させてくださった有馬さん、職人の皆様、本当にありがとうございました!

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